偉大な起業家として見なされているスティーブ・ジョブズだが、起業するまでは、どこを切っても単なる問題児だった。
中学校時代は登校拒否児童だったし、高校時代にはスティーブ・ウォズニアックと違法タダがけ電話装置を制作した上で売りさばいていた（後にiPhoneという携帯「電話機」を開発し販売することになるのだから世の中わからない）。
また、大学時代にはマリファナやLSDに手をだし毎日、ラリっていた（「LSDの摂取は、人生で行ったことの中で最も重要な経験のひとつだ。私はドラッグなしでは成功できなかっただろう」という言葉も残している）。
さらに、大学中退後、入社したゲーム会社（アタリ社）では、ロクに仕事もできない技術者として問題視されていた。
優秀な電気回路を設計できるわけでもなく、素晴らしいプログラムを組めるわけでもなく、デザインをできるわけでもない、そんなジョブズが、起業した途端、ビジョンを思い描き、優秀な人間を使いこなし、有利な交渉をこなすプロデューサーとしての能力を発揮し、現在のアップルの基礎を築いたのだった。
一般通念、道徳、常識的には問題児だとしても、ある状況、ある環境の元では、素晴らしい才能を発揮することがあることをジョブズは教えてくれている。特に、一般通念や常識に逆行することにこそ、チャンスにつながることの多い起業の世界では。

「ブックオフ」、「俺のフレンチ」を成功させるなど、ビジネスの天才のように見られている坂本氏だが、実際は全戦全勝どころか、2勝10負という成績になっている。
29歳の時、最初に手を出したのが「オーディオショップの経営」。
しかし、秋葉原のオーディオショップ、近所の電気屋との闘いに敗れ、2億円の負債を抱え倒産した。
次に手がけた「自動洗車事業」も失敗。
その次の「中古ピアノ販売事業」でプチ成功したものの、その後、手がけた「化粧品販売事業」「喫茶店経営」「レストラン経営」「不動産事業」「スーパー出店支援事業」は立て続けに失敗。
そして、50歳になった時に手がけた古本のリサイクルショップ事業が大成功し、それが今のブックオフにつながった（1勝目）。
しかし、そのブックオフで不祥事を起こし、引責辞任に追い込まれる。
坂本氏は、それにメゲず、72歳になった時、立ち食いレストラン事業の「俺のフレンチ」を立ち上げ成功させる（2勝目）。
連勝しているように見える人の実態は、裏で失敗した多くのものが目立たず、見えていないだけだったりする。
ブックオフなどの巨大ビジネスを興したビジネスの天才でさえ、こうなのだから、普通の人は、失敗した数だけ、経験値が増え、次に成功する確率が増える、と考え、何が起きてもメゲずに、起業を楽しんだ方がいいのかもしれない。

アルバイト情報サイト「ジョブセンス」を成功させ、売上高50億円の起業「リブセンス」の創業者村上太一氏だが、驚くことに、八畳一間のワンルームマンションに住んでいる。

証拠映像

理由は広い住居に関心がないし、寝に帰るためだけの場所だからとか。
寝る為だけの部屋だから、冷蔵庫もないし、テレビもない（アナログテレビはあるが地デジが映らず意味がない）。
そんな村上氏の弁は以下。

「人間は誰でも、遺伝子レベルで承認欲求や表現欲求を持っていると思いますが、私が新たな会社を作って新たなサービスや価値を提供しているのも、その欲求なのかなと思います。私は、私の取り組みで周りの人が幸せになってるということに幸せを感じるんです。その幸せという言葉の裏には、きっと人間の承認欲求や表現欲求があるんだと思いますね。昔はお金を持っていてフェラーリに乗ることが承認欲求という人がいたかもしれませんが、私にとっては誰もが使うウィキペディアやFacebookを作った人のほうがかっこいいと思います。当社も「あたりまえを、発明しよう。」というビジョンを掲げ、誰もが使う、なくなると困るようなサービスを開発したいと思っています」

村上氏は無欲な人なのではなく、多くの人が持つ欲求とは違った欲求に貪欲な人、ということのようだ。